平成26年8月14日 お盆休みです
前回に引続いて、建築士8月号に掲載されたオピニオンを掲載させてもらいます。
【 アレッ 八百屋が無くなった!】 栃木県 青木格次
昨年、伝建地区の千葉県香取市佐原と栃木市の嘉右衛門町の街歩きをして来ました。
街中に点在する伝統的な蔵の街並みと地元商店街の温かいオモテナシに思わず<三丁目の夕日>を思い出し、
ホッとする温かさを感じました。街中ではコンビニもスーパーマーケットも、
お決まりメニューのファーストフード店もあまり見かけませんでした。
コンビニ1軒で地元商店の数軒が廃業し、スーパーマーケット1棟で地域の生活商店街の
ほとんどが閉店に追い込まれると私は考えています。
コンビニやスーパーが生活に便利な事も、街の活性化に寄与する事も十分に分っていますが、
それと引き換えに失うものが沢山有るのも事実です。
佐原や栃木の皆さんには失礼かもしれませんが、多分バブル期の影響を受けなかった事が、
今の街並み保存に幸いしたのではないかな、と考えています。
五月の連休に久しぶりに地元の商店街を歩いてみたら、
アレ、八百屋が無くなって100円駐車場になっていました。
古い商店が無くなって空き地になるのは、もう当たり前の光景ですが商店街からまた一本歯が抜け、
新しい歯は生えて来ないのだなと思うと、北風がスーと通り過ぎてゆくようなワビシイ気持ちになりました。
自家用車の普及や、問屋を介さない流通革命、女性の職場進出増加によるライフスタイルの変化、
そして大手資本の郊外進出…など多くの変化がこの30年間に重なり合い、
地方の個人商店は改装や建替え、新築を決断する勇気をもはや失ったように思えます。
地元商店街はもう時代の要求に応えられないのでしょうか?
本誌でも、日本中の街おこしの事例が毎年、数多く紹介されておりますが共通するのは
地域の歴史や文化、風土に根差したオンリーワンの街おこしや商店街作りです。
私は街の印象は歴史軸、人物軸、気候・風土軸 のX,・Y・Z三軸で囲まれる
体積の大きさでイメージされるのではないか、と考えています。
その中でも歴史軸における建築物の存在は非常に大きく影響して来ると思います。
そのことはまた我々建築士がCA(コミュニティアーキテクト)として、又HM(ヘリテージマネージャー)として
専門的視点から街づくりを提言出来る分野でもあり、
建築士会と地域社会との交流を深める貴重な場にもなります。
大手資本の提灯持ちより、地元商店街の活性化のお手伝いをさせてもらうかな・・・
と今、八百屋の跡地を見て考えています。
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